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当院の日帰り白内障の特徴
当院では、年間650件以上のQOV(クオリティーオブビジョン)を追求した日帰り白内障手術を実施しております。
手術では眼科用3次元映像システム(NGENUITY 3D ビジュアルシステム)を採用しています。顕微鏡を覗き込む方法と違い、3Dメガネを装用しモニターを観察しながら執刀できます。顕微鏡よりも術野が広くなり鮮明に見えます。
また、わずか2㎜の切開で、レンズを自動的に挿入するオートサート機能を備えた超音波白内障手術装置「センチュリオン」を導入しており、目への負担やリスクを抑えながら、短時間で効率的な手術を実現しています。
眼内レンズも「単焦点」はもちろん、日常を裸眼で過ごせる遠近両方に焦点の合う「多焦点レンズ」も導入しています。「乱視用多焦点レンズ」も取り入れています。
(2020年4月1日から、多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術は先進医療制度から外し、選定療養※として行われます。)
患者さんのレンズを選ぶ際は、Vision Simulator EyesArcを使用しています。
Vision Simulator EyesArcとは、患者さんのライフスタイルに合わせた眼内レンズ選びができるようにシュミレーションできるシステムとなります。
レンズ選びをする際に、iPadで実際の見え方を確認してもらいレンズを決定いたします。
※選定療養…通常の単焦点レンズ(保険適用レンズ)の料金と多焦点眼内レンズ代の差額をお支払いいただきます。手術における技術料は健康保険で行うというものです。
手術用顕微鏡 ルメラ700
手術支援システム カリストアイ
超音波白内障手術装置 センチュリオン
Vision Simulator EyesArc シュミレーション風景
NGENUITY 3D ビジュアルシステムについて
NGENUITY 3D ビジュアルシステム
調布眼科医院では、眼科用3次元映像システム「NGENUITY® 3D ビジュアルシステム」を導入しています。
デジタル高解像度3D 4Kモニターと専用の偏光眼鏡を用いることで、繊細な眼組織を鮮明且つ立体的に把握し、Hands up surgeryを行うことが可能になりました。デジタルフィルター機能により、光毒性や手術補助剤を軽減できるなど患者さんにやさしい手術が可能です。
NGENUITY 3D ビジュアルシステムの3つの特徴
3つの特徴
1、3Dメガネと4K有機ELモニター
術者は3Dメガネをかけ、55インチの4K有機ELモニターで手術領域を観察できます。通常の顕微鏡に比べて、無理のない姿勢で術野を観察し執刀できます。
2、デジタル処理による、明るく鮮明な画像表示とコントラスト調整
術中にデジタル処理を行うことで、鮮明で明るい画面表示が可能になります。これにより、手術中の視認性が向上し、より精密な執刀ができるようになります。
見にくい症例に対しては、患部の色の変更やコントラストの調整により、重要な患部を強調することができます。
3、焦点深度の調整
焦点深度が1.5倍まで変更可能で、深さや立体感が大きくなり奥行きの感覚を強く取ることができます。
白内障の手術
眼を2㎜程度切開して細い器具を差し込み、超音波によって水晶体を砕いて吸い取ります。その後人工のレンズ(眼内レンズ)を移植します。眼内レンズは一度入れれば取り替える必要はありません。
麻酔は点眼麻酔で行いますが痛みはほとんどありません。手術時間は眼の状態によりますが、10分程度でほとんどの場合入院の必要はなく、日帰りで受けていただけます。(術後は状態を見るため、通院していただきます。)
手術翌日から視力の復調が期待できますが、眼の状態が安定するまでは経過観察と点眼などの治療が必要です。
眼球を切開し、水晶体の前囊を切り取る。
水晶体の核と皮質を超音波で砕き、吸引して取り出す。
後囊とチン小帯は残す。
残した後囊の中に、眼内レンズを挿入する。
眼内レンズ
レンズは直径6mm程で、後囊に固定するために、ループがついています。眼内レンズをいったん挿入すれば、取り替える必要はありません。
1.多焦点眼内レンズ(遠近両用眼内レンズ)
白内障の手術で、これまで主に使われてきたのは「単焦点眼内レンズ」です。文字通り焦点が一箇所に固定されるもので、生活スタイルに合わせて希望する距離に焦点を定め、レンズを挿入します。焦点を近方に固定すれば遠方を見る際には眼鏡が必要ですし、遠方に焦点を合わせれば読書などには老眼鏡が必要となります。
これに対し「多焦点眼内レンズ」は遠方にも近方にも焦点を合わせられる眼内レンズです。日常を裸眼の状態で過ごすことができ、ほぼ眼鏡なしでの生活が可能になります。
△単焦点眼内レンズの見え方
(遠方のみに焦点が合う)
△多焦点眼内レンズの見え方
(遠方・近方とも焦点が合う)
△光学式眼軸長測定器IOLマスター700
△光学式眼軸長測定器OA-2000
多焦点眼内レンズ挿入の際の注意点として、緑内障や黄斑変性症等の眼の疾患や角膜に問題があると、多焦点眼内レンズを入れても作用が発揮できないことがあります。
当院では、多焦点眼内レンズご希望の患者さんには、手術前の裸眼視力、乱視の程度、光学式眼軸長(眼の長さ)測定、色の濃淡を判別するコントラスト視力や瞳孔の大きさなど、さまざまな角度から検査をおこなっています。その検査データを元にレンズの度数調整を行うことで、術後の裸眼視力をより精密に予測することができます。
●手術後の注意点
入浴や洗顔は、
1週間くらい避ける。
目を押したり、
こすったりしない。
転ばない、
ぶつけない。
眼内レンズには、ピントを合わせる調節力がないので、眼鏡が必要になります。手術後2週間~2ヵ月頃には、視力が安定してくるので、この時期に自分の視力に合った眼鏡をつくります。
眼内レンズの種類
テクニスマルチ
レストア
1m以上離れた遠方と50㎝ or 40㎝ or 30㎝の近方の2つの距離に焦点のあった2焦点眼内レンズです。
老眼と共に乱視も治療しますが、中間のパソコン等の距離はやや短いです。選定療養枠となります。
シンフォニー
遠方から中間距離までの見え方がより自然で、コントラスト感度の低下が少なく、従来の回折型多焦点眼内レンズよりグレアハローを軽減できるため、デスクワーク中心のお仕事や夜間運転の頻度の高い方には適応しやすいレンズです。
焦点拡張型(Extended Depth of Focus:EDOF)と呼ばれるタイプの多焦点眼内であり選定療養枠になります。
ファインビジョン
3焦点眼内レンズは2焦点眼内レンズで見えにくかった50cmから1mの中間距離を見やすくします。
遠方、中間(60㎝)、近方(30㎝)が、まんべんなく見えるレンズです。グレアハローなども少ないレンズです。
2023年に選定療養となりました。
レンティス コンフォート
保険適用の低加入度数の分節眼内レンズです。
一般的な多焦点眼内レンズに比べて見え方がシャープで、光のにじみが少なく、まぶしさを感じにくいといわれています。
パンオプティクス
遠方視力を犠牲にすることなく、従来の3焦点に比べ近方距離(40cm)から中間距離(60cm)においてより楽に連続的に見えるレンズです。
シナジー
近方と遠方に加えて中間距離にも焦点が合った多焦点眼内レンズです。
中間距離にも焦点が合うため、パソコンの画面や、読書などが見やすくなりました。
手元や遠くの見えかたは2焦点多焦点眼内レンズと同等です。
遠方はハローが強く出て夜間の車の運転がしづらくなります。
アイハンス
アイハンスは次世代型の単焦点レンズです。
遠方から中間距離まで見える範囲を広げる事ができるレンズです。遠方から中間までの視力を得られるというところはレンティスコンフォートと似ていますが、レンズの形状が、単焦点レンズと類似していることから、レンティスコンフォートが適応にならない患者さんにも、使うことができます。単焦点レンズのいいところは残しつつ、見える範囲を広げる事ができるレンズです。
クラレオン ビビティ
焦点深度拡張型と呼ばれるタイプのレンズです。
波面制御技術により、これまで多焦点眼内レンズの弱点とされていたハロー・グレア現象がほとんどなく、焦点距離は遠方から中間をほぼカバーし、近方はほとんど良好に見えます。
眼内レンズ比較表
レンズ外観 | |||||
---|---|---|---|---|---|
名称 | テクニスマルチ | レストア | シンフォニー | ファインビジョン | レンティス コンフォート |
光学部デザイン | 回折型 | 回折型 | 回折型(EDOF) | 回折型 | 屈折型 |
焦点の特性 | 遠方 中間と近方を選択 |
遠・中間・近の選択 | 遠方~中間 (連続的) |
遠方・中間・近方 | 遠方~中間 |
近見の焦点距離 | 30cm 40cm 50cm |
30cm | ∞ 66cm |
∞ 75cm 35cm |
66㎝ |
向いている作業 | 読書・PC作業など | 新聞・読書など | 運転・PC作業など | 運転・PC作業・ 読書など |
PC作業など |
グレア・ハロー (まぶしさ)の自覚症状 |
感じる | 感じる | あまり感じない | 感じる | 感じる |
生産国 販売拠点 | アメリカ(AMO) | アメリカ(Alcon) | アメリカ(AMO) | ベルギー(Physiol) | ドイツ(Oculentis) |
保険適用 | △ | △ | △ | △ | ○ |
料金目安 | 160,000円 | 150,000円 (トーリック) 170,000円 |
160,000円 | ノントーリック 230,000円 |
約44,000円 (3割負担) |
レンズ外観 | ||||
---|---|---|---|---|
名称 | パンオプティクス | シナジー | アイハンス | クラレオン ビビティ |
光学部デザイン | 回折型 | 回折型(EDOF) | 屈折型(高次非球面) | 焦点深度拡張型 |
焦点の特性 | 遠方・中間・近方 | 遠方~近方(連続的) | 単焦点(なだらかな 焦点深度曲線) |
遠方〜近方 |
近見の焦点距離 | ∞ 60cm 40cm |
∞〜35cm | ∞〜70cm | ∞〜40cm |
向いている作業 | 運転・PC作業など | PC作業・読書など | 運転 | 運転・PC作業など |
グレア・ハロー (まぶしさ)の自覚症状 |
あまり感じない | やや感じる | ほとんど 感じない |
ほとんど感じない |
生産国 販売拠点 | アメリカ (Alcon) |
アメリカ (AMO) |
アメリカ (AMO) |
アメリカ (Alcon) |
保険適用 | △ | △ | ○ | △ |
料金目安 | 210,000円 | Toric 230,000円 Non Toric 210,000円 |
約44,000円(3割負担) | 200,000円~300,000円 |
△・・・選定療養となります。通常の単焦点レンズ(保険適用レンズ)の料金と多焦点眼内レンズ代の差額をお支払いいただきます。手術における技術料は健康保険で行うというものです。
2.乱視用眼内レンズ
乱視用眼内レンズとは・・・・
乱視は白内障手術後の患者さんの裸眼視力にもっとも影響を与える要素の一つであり、このレンズには乱視を矯正するための度数が内蔵されています。
乱視の強い方の手術後の裸眼視力はかなり向上させることができます。
乱視用眼内レンズQ & A
乱視があるのですが、白内障手術での眼内レンズの使用で、眼鏡なしの視力を得ることは可能でしょうか?
新しい乱視用眼内レンズを使用すれば、裸眼視力の補正が可能です。
眼内レンズにもいろいろな種類があるのですか?
加齢などによって濁った水晶体を取り除き、水晶体のかわりにレンズを入れて視力を取り戻す白内障手術においては、これまで主に「単焦点眼内レンズ」が使われてきました。
このレンズは文字通り遠近どちらかにのみ焦点を合わせる単焦点のレンズなので、焦点が合わない距離を見るためには眼鏡が必要です。これに対し「多焦点眼内レンズ」は、遠距離と近距離に焦点があうレンズ(回折型)と、遠距離と中間距離に焦点が合う眼内レンズ(屈折型)があり、仕事やライフスタイルに合わせてどちらかのタイプを選択することで、遠・中・近距離ごとに眼鏡をかけ直す煩わしさから解放されます。
しかし、緑内障や黄斑変性症等の眼疾患や角膜に問題があるとレンズの作用を発揮できず、また、強い乱視は矯正できないといった弱点があるため、これを克服するために登場したのが「乱視用眼内レンズ」です。
乱視用眼内レンズについて詳しく説明してください。
眼内レンズを使用する白内障手術は、濁った水晶体を入れ替えるだけのものなので、角膜の歪みが原因となる「乱視」の補正には対応していません。そこで角膜の歪みも一緒に補正してしまおうという概念から生まれたのが、乱視用眼内レンズです。
このレンズでは角膜の歪みと逆方向の歪みを持つレンズを水晶体に入れることで、歪みを打ち消しあい、乱視を解消します。
単焦点や多焦点眼内レンズは、どの方向、どの角度に入れても同じ作用を得られますが、乱視用眼内レンズは的確な位置(向きと角度)にレンズを入れなければ、歪みの補正ができません。そのためレンズを入れる向き・角度を正確に計算する必要があり、この精度が乱視を解消できるかの成否につながります。
当院では、精密なレンズ挿入を行うために、眼軸長の検査を行うIOLマスター700や、レンズの挿入位置や角度を緻密に計算するための複数の計算ソフトの使用、検査や計算ソフトで算出した挿入位置を手術用顕微鏡(ルメラ7000)内に表示させるサージカルガイダンスなどを導入し、軸ズレを起こさない手術を行っています。
乱視用眼内レンズが適用できない症例はありますか?
今のところ乱視用眼内レンズは正乱視(純粋な角膜の歪みによる乱視)を補正するものしかないので、特殊な乱視、例えば眼鏡や乱視用コンタクトレンズで補正しきれない乱視、目に傷があったり濁りがあったりする円錐角膜の方、黒目がデコボコしている不正乱視の方には残念ながら適用できません。
乱視用眼内レンズの治療は、どの眼科でも受けられますか?
乱視用眼内レンズを正しい位置に挿入するためには、高精度な検査を行って測定に誤差が出ないようにするかが非常に重要です。
当院では、前眼部OCT「カシア2」で角膜前面から水晶体後面の3次元データを作成。光学式眼軸長測定も「OA-2000」と「IOLマスター700」の2系統で測定。検査データをもとに、SRKT、ハイジス、オクリクス、バレットやイージーIOLといった数種類の計算式ソフトを使用して、レンズの度数や挿入角度を割り出します。また、結膜血管の位置をもとに眼内レンズ挿入角度の基準となるX軸、Y軸を規定し、手術支援システム「カリストアイ」を経由して、手術用顕微鏡「ルメラ700」に切開位置や角度などのガイドラインとして表示。術中に眼球が動いても、追尾して精密なガイドを示すことで、緻密な手術が可能です。
選定療養とはなんですか?
選定療養とは、通常の単焦点レンズ(保険適用レンズ)の料金と多焦点眼内レンズ代の差額をお支払いいただきます。手術における技術料は健康保険で行うというものです。
どうしても裸眼の生活がしたいのですが、可能ですか?
乱視用眼内レンズを入れれば、裸眼視力が1.0絶対に出る、といったことではありません。治療を受ける方の乱視の強さによって結果はさまざまということを踏まえて、手術を受けていただきたいと思います。 角膜面2.0D以上という強い角膜乱視を持った方では、完全に自覚乱視の症状を無くすまでには至りませんが、かなりの軽減はできます。そして乱視の軽減が、高い裸眼視力の向上につながることは間違いありませんので、遠方視力や日常の生活では、裸眼での生活が十分可能になります。
3.EDOF眼内レンズ
EDOF眼内レンズは、 焦点深度(見える幅)を広げるようコンセプトされて作られたレンズです。英語で書くと、Extended Depth of Focus となり、専門家の間ではEDOFレンズと呼ばれます。光を遠方と近方に振り分けていたレンズと異なり、光を振り分けることなく、見える範囲を広げます。近方の見え方は少し弱いのですが、見え方の質重視でハローグレア(まぶしさ)やゴースト(影のようなものが見える)といった副症状が少ない眼内レンズと言えます。
4.単焦点眼内レンズ
(1)正確な度数の眼内レンズを選択する。
① IOL power(眼内レンズ度数計算式で最も重要な眼軸長を正確に測定する
② 多数のIOL power計算式を使い、計算する。
(2)手術の影響を少なくするため、創口を極力小さくするまた影響をいつも一定にする
①極小切開白内障手術 (2mm切開)にて惹起乱視を減らす
② いつも同じ影響にする(サージカルガイダンス、カリストを使用)
(3)残存する角膜乱視に対し乱視補正眼内レンズを使う
①角膜前後面の屈折値を実測する(前眼部OCT カシアを使用)
②乱視補正の軸ずれを防ぐ(サージカルガイダンス カリストを使用)
後発白内障レーザー治療
白内障手術後、数ヵ月~数年して、また「まぶしくなる」「目がかすむ」ことがあります。これは、「後発白内障」といわれるもので、手術の際に残しておいた水晶体の後囊が濁ってくるために起こります。
後発性白内障は手術の必要がなく、レーザーを使って簡単に濁りを取ることができます。視力はすぐに安定し、入院の必要もありません。
△ヤグレーザー